ログワークスでは南九州の気候と風土に合わせた家造りをご提案しております。
特に紫外線が強く、雨量の多いここ南九州では、軒の深さの重要性が増してきます。
外壁の仕上げが木そのものであるログハウスの耐久性を高めるためには、軒が深い大屋根は欠かすことは出来ません。
「軒」とは屋根の先端を外壁面からさらに外に伸ばした部分をいいます。
「軒」は外壁(ログ壁)に雨や紫外線がかからないようにする役目はもちろん、開口部への直射日光をさえぎる役目も果たします。
写真のように軒の出を1mとっているログハウスでは、大雨の時でもログは全く濡れていませんでした。
最近の日本の一般住宅ではコストやデザイン性が優先されて、軒の出が全くない箱型の家や軒の出が短い家が増えてきています。
南ヨーロッパのお洒落な住宅で軒の出の少ない住宅を見かけることもありますが、軒の出が短いのは理由があります。
南ヨーロッパは夏もカラッとしていて、雨量も少ない気候が特徴なので軒を伸ばす必要もないからです。
逆に同じヨーロッパでも雨量の多いスイスの住宅は比較的軒が長いのが特徴です。
そして年間雨量の非常に多いこの南九州で、軒がなかったり、軒の出が短い家というのは気候と風土を無視した家づくりだと思います。
昔から建っている日本の民家は軒の出が深い建物ばかりです。
四季があり、高温多湿な日本の家づくりは古来より、軒の出を深くすることで雨や紫外線を凌いでが建物の寿命を伸ばすと考えられていました。
日本の夏の高い位置からの強い日射しを直接受けないよう、外壁は深い軒の出に保護され、室内の気温上昇を緩和してくれています。
また冬は日射しの位置が低くなるため、軒が邪魔をすることなく室内へ太陽の熱を室内へと取り込みます。
妻壁側の場合は、軒の出はもちろんですが、バルコニーの有無によって紫外線や雨を浴びる量が違います。
バルコニーがあると庇の役割を果たしてくれるのです。
また冬の場合は日射しが低いので、軒の出の影響はあまりなく、どちらも窓を通して室内に日射しが入っています。
紫外線が当たっていない部分というのうは、すなわち木が傷まない部分ということ。紫外線が当たっていない部分は塗料も劣化しないので、色落ちも少なく、塗装の効果が長持ちするので、上塗りの塗装メンテンナンスをする回数も少なくて済むのです。
またバルコニーを付けたくない場合や北側の妻壁の面は、写真のように庇を設置するのも良いでしょう。
ログハウスの造り手として、ログハウスの観点から文章を書いておりますが、「軒が深いほうがいい」という事は実はログハウスに限ったことではありません。
漆喰の外壁や、一般住宅で使われるサイディングの外壁材にしても、サイディングはもちろん、隙間を埋めるシーリングも紫外線や雨水を浴びることにより傷みが出たり、劣化するわけですから、軒の出は深い方が建物にとっては良いのです。
実際に軒のない、いわゆる軒ゼロ住宅では雨漏りや建物の内部腐食などの劣化の事象も問題になっています。
軒が深い家は、雨も直接外壁にあたりづらくなるので雨漏りのリスクも減るわけですし、日射しをコントロールするので、日射を遮り、夏の暑さを凌ぎ、そして冬の暖かさは室内に取り入れてくれます。
つまり自然エネルギーを最大限活かすことができます。
家づくりにおいてはコストやデザインも重要ですが、軒の出を深くとるということは、大げさかもしれませんが、先人たちが築き上げてきた家づくりの工夫であり、高温多湿な日本の風土と気候にマッチし、自然エネルギーをうまく取り入れることが、自然と共生しているということなのではないでしょうか。